頭痛は大人の病気と思っていたら大間違いだ。小学生になる前から、立派な頭痛持ちという子どもだっているのである。
8歳のA子ちゃん。まだ50代の若いおばあちゃんに連れられてきた。時々、頭を痛がるという。小柄なA子ちゃん。見かけは怖そうなワッシーの前で、さらに体を小さくして、何も答えられない。
「半年くらい前から、ひどくなってきたみたいで」と、おばあちゃん。月に1、2回は、急に頭の真ん中の痛みを訴え、横になってじっとしている。朝に多く、学校を休むこともある。頭痛でひどいのかと思うと、ケロッとして遊んでいたりする。痛み止めを飲ませても効かない。まさか仮病でも?と思う時もある。「母親は片頭痛持ちで」と、ちょっと苦々しそう。
おっと、そこまで聞けば十分だ。念のために、頭のMRI(磁気共鳴画像)の検査で、脳腫瘍や奇形がないことを確認した。が、A子ちゃんの病気は片頭痛であろう。
幼児期から思春期の間では、頭痛の中で片頭痛が一番多くみられる。大人と違って、男女半々くらいの頻度である。頭痛は片側に限らず、ズキンズキンという拍動性でないことも多い。腹痛、嘔吐、めまいを伴うことがあり、片頭痛の持続時間が短いのが特徴だ。
大人の持続時間が4~72時間に対し、小児は1時間から。急に痛くなり、すぐに良くなったりする。日常動作で頭痛がひどくなりぐったりしている。と、思うと、すぐに元気になる。それで、かわいそうなことに「甘えているのかも」と放っておかれたり、心の病気を疑われたりすることもある。
母親が片頭痛という子ども、車酔いしやすい子どもは、片頭痛になる危険性が高いという。周りにいる大人は、子どもにもつらい片頭痛の本差が起きうるということを忘れないでおこう。
(いしぐろ脳神経・整形外科クリニック、脳神経外科医・石黒修三:8/14北國新聞掲載)