中年期から徐々に脚の付け根が痛くなる疾患に「変形性股関節症」があります。股関節の軟骨のすり減りや変形によって、痛みが生じたり、関節の動きが制限されたりする病気です。
原因として考えられるのが「臼蓋形成不全」で生まれつき股関節の屋根の部分が浅い人が発症しやすいといわれます。そのほか先天性股関節脱臼や外傷、小児期の股関節疾患などにより引き起こされることもあります。特にこれらの原因がない場合もあります。
主な症状は股関節の痛みですが、初期では立ったり座ったり、歩き始めなど動作開始時に痛むのが特徴です。また、しゃがんだり、あぐらをかく動作がしにくくなり、症状が進行すると、常に痛みが生じます。生活面では、体重を増やさないことが大切です。歩行時に股関節にかかる負担を減らすようにしましょう。
治療では、まず消炎鎮痛剤やシップなどで痛みを緩和します。臼蓋形成不全がある方では変形の進行を予防する「骨切り術」を行い、病状が進行した場合は人工関節に置換する手術を行います。近年、人工関節の性能が向上し、多くの患者さんは20年以上、問題なく過ごしています。気になる症状があれば整形外科を受診しましょう。
(いしぐろ脳神経・整形外科クリニック院長、整形外科医:北國新聞掲載)