徒然草では、あの酒嫌いな吉田兼好でさえ、飲酒の良い面も書いている。だが、最近のお酒は可哀そう。一方的な悪者扱いだ。

アルコールには、神経毒性がある。その上、その代謝産物のアセトアルデヒドは発がん物質である。社会への影響なども含めれば、タバコの約3倍の有毒性を持つとまで酷評されている。

でも、どんなものでも使い方によって、毒にも薬にもなる。そもそも、アルコールだって、ひとつ間違えば命を失いかねないから毒には違いない。が、分解されれば無害なものに変わる。一方、飲酒には、気分をリラックスさせ、善玉コレステロールの増加や血小板の凝集を抑制する作用など、メリットも少なくないのである。

お酒も飲み方しだいだ。適量を上手に飲めば薬になるはずであるが、と、ここで気になるのは、日本人の体質だ。アルコールは、肝臓でアセトアルデヒドに分解されるが、顔が赤くなったり、吐き気や頭痛、動悸などの原因になる。

このアセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって分解され、体外に排出される。日本人には、このALDHの働きが弱い人が多いのだ。分解酵素がない人が約5%、あるが働きの弱い人が約40%もいるとされている。

では、適量のアルコールとは、どれほどであろうか。厚生省が定めるところによれば、1日平均の純アルコール量で約20㌘だ。日本酒なら、1合。ビールなら中瓶1本。ワインならグラス2杯といったところか。

ところで、俗に「一生に飲む酒の量は決まっている」という。その量を軽くオーバーしているワッシーだが、毒をもう少し楽しみたい。というわけで、ワッシーも酒量を半分に減らしてみた。と言っても、今が日本人の適量である。ほろ酔い酒である。

(いしぐろ脳神経・整形外科クリニック・脳神経外科・石黒修三:8/8北國新聞掲載)