慢性の頭痛で多いのは、緊張型頭痛と片頭痛である。それぞれ原因が違い、治療法も違う。というのに、その両方の頭痛を持っている混合性頭痛の人も少なくない。
26歳のK子さん。「とにかく、頭痛を抑え込まないと仕事にならない」と、頭が痛くなったら、すぐに市販の鎮痛剤を飲むという。月に4、5回の頭痛のうち、1、2回は効果がない。そんな時には、近医で処方されているトリプタン製剤を追加する。
K子さんの頭痛も混合性頭痛だ。一般に、緊張型頭痛なら市販の鎮痛剤が効くはずである。片頭痛ならトリプタンが効くだろう。だが、時には薬の効果が不十分なことがあるという。その時には、飲む薬の選択やタイミングを間違えているのかもしれない。
頭痛の初期には、どちらの頭痛か分からない時もあるのだ。片頭痛だから、片側の痛みとは限らない。緊張型頭痛でも、ズキンズキンと痛むことがある。市販薬が効くから、緊張型頭痛か。いや、片頭痛でも初期には、普通の鎮痛剤で痛みがコントロールされることもある。だから、K子さんが、まずは鎮痛剤を飲むのはやむを得ない。
で、鎮痛剤は15分で効き始め、30分でかなりの効果がみられるという。だが、片頭痛なら、痛みはまた進むかもしれない。頭を振ってみたらよい。緊張型頭痛なら、良くはなっても悪くはならない。しかし、片頭痛なら痛みは増強するはずだ。吐き気がする、音や光に過敏になるといった症状なら片頭痛に違いない。頭痛が始まって1時間ぐらいでトリプタン製剤を飲んでいれば、つらい思いから解放されていただろう。
頭痛持ちの患者さんの中には、漫然と自己流の薬の使い方を通している人もいる。薬の効果がイマイチの場合は、必ず医者に相談を。あっ、メモも忘れずに。
(いしぐろ脳神経・整形外科クリニック脳神経外科医・石黒修三:8/28北國新聞掲載)