お酒の飲み過ぎで、ひどい目に会う。分かっちゃいるけど、飲まなければならない時もある。いや、酔いつぶれるほどに飲みたい時もあるのだろう。

40歳のSさん。「昨日飲み過ぎたせいか、前頭部がズキズキ痛い。起きて動くと、ひどくなる。吐き気がする。体がだるい」と訴える。さらに、「点滴をすれば良くなるのでは」などと、小声で付け加えたりする。同じことを、何度も経験しているのだろう。お酒の飲み過ぎで、脱水と低血糖による二日酔いの状態である。

さて、飲酒による頭痛は、飲酒中に起きる頭痛と二日酔いのような飲酒後に起きる頭痛でその発生メカニズムが違う。飲酒中の頭痛は、アルコールとその分解産物であるアセトアルデヒドによる脳血管の拡張によるものとされる。拡張した動脈は、周りにある神経を刺激して拍動性の痛みを引き起こす。片頭痛の人では、時に、飲酒が発作の誘因になることもある。お酒は飲まない方が良い人たちである。

二日酔いによる頭痛は、アセトアルデヒドによる血管拡張が原因ではなさそうだ。飲酒翌日には、アセトアルデヒドはほとんど酢酸と水に分解されて血液中には残っていないという。

で、頭痛の原因で多いのは、アルコールの利尿作用と分解に使われることによる「脱水(水分と電解質不足)」ということになる。脱水で脳容積が縮小する。脳脊髄液の減少も加わって、硬膜や脳血管が引っ張られたようになり痛みが起きるとされる。点滴をするほどの緊急事態ではない。スポーツドリンクや経口補水液で十分対処できる状態である。

というと、「どうせ飲むなら、ビールの方が」とSさん。迎え酒など、アルコールで脳を麻痺させ、痛みや症状を感じさせなくするだけだ。習慣になればアルコール依存症である。

(いしぐろ脳神経整形外科クリニック・脳神経外科・石黒修三:8/22北國新聞掲載)