ちょっとした勘違いがもとで、長い間、苦しい思いを続けることがある。

15歳のU子さん。11歳ごろから、月に2回ほど頭痛を訴えるようになった。生理初日から、頭全体のズキンズキンする拍動性の痛みが起き、2日ほど続く。動くと頭痛がひどくなり、吐き気嘔吐を伴う。部屋を暗くして寝込んでしまい、登校できなくなる。閃輝暗点などの前兆はない。本人も周囲も、頭痛は生理痛の一種かと思い込んで市販薬で対処していた。だが、頭痛は生理時以外にもみられ、増悪傾向があり受診した。

神経学的検査や頭のMRI(磁気共鳴画像)検査には異常はない。頭痛は一次性頭痛であり、症状や経過から、片頭痛と考えられる。国際頭痛分類の診断基準によれば、片頭痛が月経の開始2日前から3日目までの期間に発症し、3回の連続する月経周期のうち少なくとも2回以上で起きるものを「月経関連片頭痛」とするという。

U子さんには、月経周期の他の日にも片頭痛発作が起きているが、月経関連片頭痛でよくみられるタイプである。

月経関連片頭痛は、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減ることで起きるが、通常の片頭痛より痛みが強く長引きやすい。従って、生理痛によく使われる市販薬では効果が乏しい。また、片頭痛に有効なトリプタン製剤を使うにしても、持続時間が長く再発しにくいものを選ぶなど、より専門的な治療が求められる。

ところが、女性の片頭痛患者のある調査によれば、生理時に起きる頭痛はどれも「生理痛の一種」だと認識している人が78.1%もいたという。それで、受診したのは15.5%に過ぎず、82.7%の人は市販薬で対処していたのだ。有効で適切な治療法が身近にあるというのに、なんとももったいない。気の毒な勘違いである。

(いしぐろ脳神経・整形外科クリニック・脳神経外科・石黒修三:9/19北國新聞掲載)