「脳の動脈硬化が出ています」とお話しすると、「え、動脈硬化って心臓だけではないのですか?」と驚かれることがよくあります。動脈硬化は全身の血管に起こる変化で、脳や頚の血管も例外ではありません。年齢に加えて、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などが重なると、脳の血管は少しずつ硬く、狭くなっていきます。
予防の基本は、減塩、適度な運動、バランスの良い食事、禁煙といった生活習慣の見直しはもちろんですが、近年は歯周病も意外な関連要因として注目されています。また、良質な睡眠も大切です。睡眠不足や睡眠の質の低下は血圧上昇や自律神経の乱れを通じて、動脈硬化を進める要因になります。
脳のMRI検査で「大脳白質の慢性虚血性変化」が見つかることもあります。これは脳の細い血管の動脈硬化によって血流が不足し、白質に小さな変化が生じた状態です。多くは無症状で、すぐに深刻な病気というわけではありませんが、放置すると脳のネットワークが痛んで、脳卒中やもの忘れ、歩行障害、気分の落ち込みなどにつながることが知られています。
過度に怖がる必要はありませんが、MRI検査は脳の「血管年齢」を知る一つの手掛かりにもなります。結果を前向きに受け止め、血圧管理や生活改善につなげることが、脳を長く元気に保つコツです。
(いしぐろ脳神経・整形外科クリニック・脳神経内科・清水愛副院長:2/21北國新聞掲載)