慢性頭痛の中でも比較的まれな群発頭痛は、若い男性の病気と思われがちだ。が、もちろん、女性に見つかることもある。

31歳のY子さん。転居のため、前医と同じ片頭痛薬の処方を希望して来院した。左側の目の奥に、えぐられるような強い痛みが起きるようになった。これまでも季節の変わり目に、2週間以上、朝方、毎日のように1~2時間の痛みが1、2度繰り返し起きた。だが、痛みが起きない時は1年以上起きないという。

発作時には、音や光に敏感になるが、吐き気や嘔吐はない。体動で痛みが増悪することはなく、イライラして歩き回ったりするという。と、なると、その頭痛は、発作時には寝込んでしまう片頭痛とは違うものではないか?

だが、Y子さんは、トリプタン製剤をのむと痛みが軽くなるし、痛みが片側だから片頭痛に違いないと思い込んでいる。でも、よく話を聞くと、発作時には、左目が充血して涙が出たり、鼻水が止まらないこともあるというではないか。そうだ。その症状は、成人では、片頭痛ではなく群発頭痛の発作時によくみられる自律神経症状である。

と、なれば、問診だけでも「群発頭痛」を疑うことができそうである。だが、聞けば、Y子さんは、これまで一度も頭の精密検査を受けたことがないという。それは、まずい。すぐに、頭のMRI(磁気共鳴画像)の検査で、腫瘍や動脈瘤、炎症などの異常がないことを確認する。それで初めて、Y子さんの頭痛は、群発頭痛と確定されたのである。

一般に、女性が群発頭痛と診断されるまでには時間がかかるようである。Y子さんには、約7年を要している。その彼女、喜んで帰ってくれると思いきや、いささか浮かぬ顔だ。ウーム。何かヘタをしたのだろうか?いくつになっても、医者の仕事は難しい。

(いしぐろ脳神経・整形外科クリニック・脳神経外科・石黒修三:10/17北國新聞掲載)