いしぐろクリニック

「数日前から特にきっかけもなく、朝ベットから起きて足を床に着くと、かかとに針を刺したような痛みが出ます」という５０代の女性が受診されました。
診察してみると、外表上は発赤や腫れは見られませんが、足底のかかとを押すと痛みが誘発されました。
　これは「足底腱膜付着部炎」もしくは骨の形態から「踵骨棘」とも呼ばれる疾患です。足底には足趾からかかとに走行する足底腱膜という丈夫な腱があります。その腱が踵骨に付着する部分に微細な傷がつき、炎症が起こっている状態です。レントゲン写真では、踵骨の疼痛部位に骨がツララのように尖っていることがあり、これを骨のトゲ「骨棘（コツキョク）」といいます。
　原因は、過度な運動や荷重、体重増加、土踏まずの異常、不適合な靴などが挙げられます。中年女性に比較的多く発症します。朝一番、体重をかけたときに痛みがあるのが特徴的ですが、これは就眠時に腱損傷が修復されるものの、朝、足に荷重をかけることで、再び損傷されることが原因ではないかと考えられています。また骨に付着した腱が慢性的に損傷を受けると、修復過程でツララのような骨形成が起こります。
　治療は局所の安静、内服や外用の消炎鎮痛剤、局所のステロイド注射、足底板、リハビリなどがあります。思い当たる症状がある方は、整形外科で診察を受けましょう。

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　整形外科　清水　明（7/11北國新聞掲載）